発達障害により仕事を覚えられないで苦しんだ後輩の話-自分に合わない仕事を続けることは自分も職場も辛いです-

発達障害の新入社員の話コラム

こんばんにちは。昼寝ねこです。
僕はこれまでいろんな仕事を経験してきたのですが、そのぶんいろんな環境でいろんな人間を見てきました。

その中で、本人には全く悪気もないし、真面目で一生懸命なのに、仕事が覚えられない、職場の空気を悪くしてしまう。そんな後輩がいました。
タイトルにもある通り、発達障害と診断されて、結果的に退職代行を使い1か月程度で辞めてしまいましたが、僕にとってこの後輩との2か月は過酷なものでした。
今回は、この後輩の話を通して、合わない仕事を続けることが本人のためにも、職場のためにもならない…

はやく仕事を辞めるべきついて話したいと思います。

Youtubeで動画にしています

入社初日

予め言っておきますが、僕はこの後輩の事を悪く言うつもりはありません。
ご承知おきください。この後輩を以後、A子さんと呼称します。
A子さんは前職で今も取引をさせてもらっているWEB制作会社で大卒の新入社員として入社しました。
入社前の面接にも立ち会いましたが、大卒であり学習ができないわけでもなく、
WEB面接だったので詳細をとらえることはできませんでしたが、真面目で実直な印象を受けました。
実際、入社したA子さんの印象も面接のときと同じようなもので、内向的そうではありますが、真面目でしっかりしていそうでした。
僕はサブディレクターになったばかりで、教育係をすることになりました。
ちょうど大口の新規の案件がそろそろ終盤だったので、案件を通して簡単な仕事から覚えてもらうことにしました。
1日目は会社の規則やマニュアルを読んでもらい、翌日は簡単な修正業務をお願いすることにしました。

入社2日目

入社2日目はお客さんからの簡単な修正依頼をお願いしました。
本当に簡単な、ホームページのテキストの変更と画像の差し替えです。
これより簡単な仕事はなく、毎回新人さんにやってもらい、
管理ページのログインの仕方やデータバックアップの取り方、雰囲気をつかんでもらうようにしていました。
ひとしきり説明して、やり方も一回やってから同じ手順をなぞってやってもらうことにし、
A子さんも一生懸命メモを取っていてやる気を感じられたので問題ないと思いました。
僕は打ち合わせがあったので1時間ほどして戻ってきて「できた?」と聞くと、
いきなり泣き出しました。そして立ち上がりオフィスから出て行ってしまいました。
周囲から「どんな教え方してるんだ」という視線を感じましたが、とりあえず放っておくわけにもいきません。
僕はドラマのように出ていったA子さんを追いかけました。
A子さんは休憩室で泣いていました。「どうしたの?」と聞くと「やり方が解らなくて混乱して」と言ったので
さっき説明した通りにやればいいんだよ?メモも取ってたじゃん?というと、
わ~~~っと泣き出しました。やばい、まずいこと言ったかな?と思い、
落ち着かせようと、その場を離れコンビニに飲み物を買いに行きました。
戻ってくると、同僚の女性がなだめており、引き継いで飲み物を渡し、
落ち着いて泣き止むまでの2時間、僕は天井を眺めていました。
案件の進捗が遅れており忙しく、早出・残業しているのにこの2時間はなんなのかと悲しくなりました。
結局、仕事のプレッシャー(テキストと画像を差し替えるだけだけど)、できなかったときの評価を気にしてパニックになったらしく
その日はそこまでで帰宅させました。
上司や社長に説明しなければならず、半日が潰れ、かといって仕事を延ばすわけにもいかず帰宅は22時になりました。

入社1週間

はじめは僕が厳しすぎるのでは?と周囲が見ていた節がありましたが、
その誤解も解けてきました。A子さんは1週間たってもデータのバックアップの取り方も覚えられないでいました。
WEBサイトを作る際、変更前のデータは日付を付けてローカルに保存しておき、自分の変更したデータを上書きしてアップロードするのですが、
何度説明しても覚えられず、チームの作業納期も迫っていた僕は妙案を思いつきました。
同じ人が何度も教えると、プレッシャーになるだろうと、同じことを3人で教育してみることにしました。(僕の作業時間も確保できます)
すると教育担当は毎回1度しか言っていないので、何回言えばいいんだと思うこともなく、
A子さんは3回同じことを学習できます。結果的に2ヶ月たってもバックアップを習得することはありませんでした。
担当してもらったスタッフからは、データを消されてしまった。面倒見切れないなど泣き言と文句を言われましたが、泣きたいのはこっちでした。
1週間たつとA子さんの吃音もひどくなり、あの、その、え、あ、あ…ということが増え、
明らかに入社した時よりも、状態が悪化しているなと感じました。居眠りするようになったのもこの頃です。

入社1か月

大きな問題が起きました。
週に2度、朝に分担して会社の掃除をするのですが、掃除の時間が終わってもA子さんは担当の場所(会議室)から戻ってきませんでした。
僕は正直に言えば、ひっ迫した仕事を片付けたくて1秒でも早く仕事をしたかったため、戻ってきてから確認でいいだろうと思っていました。
そう思った矢先、廊下を挟んだ会議室からけたたましい叫び声と地面を叩く音、振動が伝わってきました。
上司の方を見ると、ニヤッとして目をそらし、他の社員との会話に戻ったので、押し付けられたなぁと思いました。
事前に情報を知るため、一緒に掃除をしていたパートの女性たちに話を聞くと、
掃除のとき、なにげなく仕事とかスキルの話を聞いたら突然泣き出したと言います。
心の中では、余計な刺激を与えないでよ。とか、泣き出したなら報告してよと思いましたが、
言っても仕方ないことなので、本題に臨むことにしました。
行きたくありませんでした。動物の檻に入るようなものです。
会議室に入ると、テーブルに突っ伏し、地団太を踏んでいるA子さんがいました。地団太を踏んでいる人、初めて見ました。
もうコンビニに飲み物を買いに行く必要はありません。事前に準備していました。これで4回目ですからね。
そして扱いもわかっています。飲み物を渡す、理由を聞く、落ち着くまで泣かせてあげる、仕事に戻るか帰るか選ばせる。
泣いていた理由は「仕事を覚えられず、他の人(少し前に入った人たち)に置いていかれることが怖かった」とのことです。
その会社ではスキルの成長を毎月全体で評価して視覚化しており、どんどん離されていくことが怖かったのですね。
僕は、他人の評価より自分がどうすべきかを考えなさいと言いました。他人ばっかり見ていて自分の実力を見ていない節があったからです。
他人にこう言われた、誰よりできない。そんなことばかり気にしていても仕方がありません。
人生とは相対的ではなく絶対的に自分に足りないものに向き合って、努力することしかないと僕は思っています。
人を諭すほど立派な人間ではありませんが…

入社1か月半

すでに会社の中ではA子さんに関わらないようにする空気が出来上がっていました。
僕は教育係なので仕事を振っては、返ってくる問題だらけのタスクを指摘し、再度やってもらうということに疲れてしまっていました。
同じことを何度も何度も指摘し、訂正してもらう間に、A子さんは僕に対し不満を持つようになっていました。
ちょうどこの頃、僕の同期の女性がA子さんに接触するようになっていて、

B美さんとしましょう。B美さんはのらりくらりと仕事をしているのでスキルはつかず、場をかき乱すのが好きなタイプの人でした。
社長や上司のいないときに全員に聞こえるようにもう辞める、もう辞めるとおよそ職場でいうべきことではないことを叫んだり、
陰で他人の悪口や噂話を面白おかしく伝播させる、一種のモンスターでした。
そんなB美さんの事を僕は…大嫌いでした。
結局辞める辞めると騒いでいたわりに、同期の中で一番最後まで残っていましたね。
このB美さんがA子さんに何事か吹き込んだようで、明らかに悪い影響を受けていました。
A子さんから仕事に対する熱意や集中力がなくなり、上がってくる仕事の質もいっそう酷いものになりました。
しかし、指摘すればヒステリーを起こして泣き出してしまう。僕の方がストレスで追い詰められていきました。

遂に僕はストレスで耳鳴りがおこるようになっていました。
会社からA子さんは3ヶ月の研修期間で退職してもらうと言われていましたが、
B美さんの陰湿な陰口とかやり口も見ていて本当にストレスで、今の案件が終わったら会社を辞めようと思いました。
この頃、B美さんにいじられていたおとなしいベテラン社員も退職してしまいました。B美さんやその他チームのやらない仕事を遅くまで一人でやっていた人でした。
チームにうまく仕事を割り振れないのは管理に能力のなさもあるとは思いますが、
やる気のない社員を抱え、その割を他の社員がカバーして仕事が増える、うんざりして人が辞める。どこでもあることなんでしょうね。
僕はストレスの限界で会社を休みました。土日合わせて5連休は最高でした。今では普通ですけどね。

入社2ヶ月

会社に復帰し、退職届を出そうと休みのあいだに用意しておきましたが、必要がなくなりました。
A子さんは会社に来ませんでした。
替わりに電話がかかってきて、社長が対応していました。
受付した後輩に、誰から?と聞くと、よく解らない会社名でした。
後輩と一緒に検索すると…退職代行会社でした。
退職代行会社のホームページを作ったことはありましたが、利用されるのは初めてでした。
即日対応、費用は25000円からだとか。良心的ですね。
しばらくして社長に呼び出されました。
実は休んでいる間に、A子さんは病院を受診したらしいです。
そこで発達障害と診断され休職を願い出てきたとのこと。
確かに会社には休職制度はありましたが、入社2ヶ月で研修期間のA子さんは対象外だと伝え、
業務内容を見るにづづけるのは困難では?という話し合いが持たれていたと知りました。
あとで聞いた話では、通院も退職代行もB美さんの提案だったようです。
どういう心境で提案したのかまでは知りませんが、この頃、B美さんはA子さんの事も煙たがっていました。
結局、このあともB美さんとの人間関係が嫌になり、僕は会社を辞めることにしましたが、
一旦は落ち着いた生活が戻ることになりました。

発達障害の特徴

僕は専門家ではありませんが、A子さんの行動を見ていて
不注意(忘れっぽい、集中力の持続が難しい、など)
衝動性(じっとしていられない、感情的になりやすい、など)
多動性(しゃべりすぎる、考えよりも先に行動しがち、など)
など、ADHD(注意欠如・多動性障害)の兆候があったと思います。
同時にSLD(限局性学習障害)だったのではないかとも思っています。
また、知的発達に大きな遅れがあるわけではなく、聞く、話す、読む・書く・計算など、ある特定の課題の習得が、他と比較して明らかに不自然に遅れる状態というのも当てはまります。
家族や友人とのコミュニケーションにも悩んでいると相談を受けたこともありました。

まとめ

会社に入ってからA子さんはとても苦しんだんだろうと思います。
同時にA子さんが入社したことにより、職場のリソースや対応した人間の負担にも繋がりました。
一番の不幸は、仕事に就くまでに発達障害だという認識が持たれず、ミスマッチな仕事に当たってしまったことでしょう。
A子さんは障害手当をもらいながら休養するということで、ひとまず生活の心配はないかなと思います。

話のまとめになりますが、今回のように、本人に悪気が無くてもその仕事に向いていない人というのはいるものです。
それは結果として自分のためにも、他人のためにもなりません。
A子さんはもっと、環境に左右されずにマイペースに仕事ができたらパニックを起こさずに楽しく仕事ができたかもしれません。
今回は発達障害という病気でしたが、病気かどうかは関係なく、自分の短所を認め、努力して克服していくのか
もしもそれが難しいなら短所を克服するのではなく、もっと他の長所を活かせる自分の場所を探す必要があると思います。
私たちは配られたカードで勝負するしかありません。できること・できないこと・やりたいこと・やりたくないこと。
自分の事を知ったうえで自分の手札から最適だろうというカードを切っていかないと、辛い現実に直面します。
自分がどうしたいのか、どういう人間になりたいのかを考えて、仕事や自分の居場所を探していって欲しいと思います。
僕の場合は、他の幸せよりも優先して、ストレスなくのんびりゆっくりと過ごせる日常を願ってきました。そのために努力もしてきたつもりです。
A子さんがあの期間に何か気づきを得て、次に進んでくれていたらいいと思います。
A子さんを含む、いま仕事に悩んでいる皆様が自分にあった場所、自分の輝ける場所を見つけられることを願っています。

これからも昼寝王国では、仕事の体験談や人生についての考え方など定期的に公開していきます。
仕事に悩んでいるかた、セミリタイアを目指しているかたの参考になれば幸いです。
この動画が役に立ったと思っていただけたら、ぜひ高評価・チャンネル登録よろしくお願いいたします。
今後も宜しければお付き合いください。ありがとうございました。

投稿者

昼寝ねこ

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